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アルカディア東洋


先のブログ「エヴァンジェリストの旅」の最後に、オイルマネーを還流させるために「日本を観光大国に列島改造しよう」と書いた。
そのために国際リゾート「アルカディア東洋」の構想を練っているとも。

 

この「アルカディア東洋」とは、どういうものなのか。 もう少し、 説明しておこう。

 

アルカディアとはギリシャ語で理想郷を意味する言葉で、ペロポネソス半島にその地名がある。欧米では人々が豊かに暮らす、美しい田園風景をイメージする言葉らしい。 日本語では桃源郷に近い語感だ。

 

「アルカディア東洋」という命名には、東洋の桃源郷さながらのリゾートを日本に設けて、世界中から観光客を呼び込もうとする決意が込められている。

 

にわか作りの造語というわけではない。すでに140年前、開国したばかりの日本を訪れた英国女性探検家、イザベラ・バード( Isabella L. Bird 1831-1904 )が使っている。 1878 年(明治11年)、イザベラ・バードは現在は 山形県南部の置賜地方 を単身旅行し、その美しさに驚き感動して、著書「 Unbeaten Tracks in Japan 」(邦訳「日本奥地紀行」)に「ここは東洋のアルカディアである」と書いた。

 

ヨーロッパはもちろん、アメリカからアジア各地を旅行して広く世界を知るイザベラ・バードをしてこういわせた置賜地方 (米沢盆地) の自然と田園の景観の美しさは、おそらくは上杉藩の厳格な統治と働き者の農民たちの労苦によって作り出されたものであったに違いない。

 

しかしそれだけではない。日本の自然の美しさは、そのなかに暮らす日本人には普通のことでしかないけれども、世界各地と比べれば、じつは驚嘆すべき美しさなのである。 わたくし自身、世界各地を旅して痛感している。 学生時代、観光客のガイドをしてアルバイトをしていたとき、神戸から別府に向かう瀬戸内航路の船中でフランス人医師の夫婦が「サンシロウ、君の国はじつに美しい。」としきりに繰り返していたことを思い出す。

 

そこで国際リゾートの第1期計画の立地には、イザベラ・バードが賞賛した山紫水明の山形県置賜地方がいいのではないかと考えている。 そこだけということではない。 日本海から太平洋まで、山形、宮城、福島の3県を結ぶ東北南部回廊は、海、山、川の幸が豊富で、温泉やスキー場などの既存の観光施設がそろっている。 これらを再編し、新しいコンセプトでつなぎ合わせればそのまま国際リゾート「アルカディア東北」になるだろう。


日本を訪れる観光客の600万人のうち、500万人は京都に向かうといわれる。 「アルカディア東北」に豪奢なデパートやレジャーランド、歴史的建造物があるわけではない。 むしろその対極の価値を提供するのが望ましい。 東北南部の山、川、田園、海の自然とそのまま生かして、カジュアル、ヘルシー、エコロジー、普段着でゆったりと豊かに過ごせる健康的な滞在型のリゾートでなければなるまい。
 

まずは山形、宮城、福島の3県の東北南部回廊に「アルカディア東北」を設け、こうしたリゾートが列島各地にいくつも生まれることで、海外の観光客が自由に選べる国際リゾート「アルカディア東洋」が次第に形作られてゆくに違いない。 問題は立地だが、こうした国際リゾートがあれば地元も潤うのだから、積極的に誘致したい地方自治体を募り、それらのなかから選抜するというのが一番現実的だろうと考えている。

夢のような構想だが、夢に終わらせてはならないと実現に向けて行動し始めている。
なぜなら原油高騰にともなって日本から途方もないお金が日々、流出しているからだ。 手をこまねいていたらわたくしたちの日本は底なしの不況に飲み込まれよう。

すでに地価はまたも下げ足を早めて、地方の市町村は税収不足からどこも“夕張市”になろうとしている。 教育も介護福祉もたまったものではない。

 

手遅れになる前に、 「アルカディア東北」から「アルカディア東洋」へと日本列島を観光列島に改造したいものだ。 これ以外の日本救済の妙薬は見当たらない。



 

by Sanshiro 更新:2009/01/28 09:01 作成:2008/09/24 11:48

世界経済システムの地殻変動

 

「ドルを軸にした世界の金融経済システムが、ユーロ通貨の登場で地殻変動を起こしている。 理由が理由だけに、いつ収まるとも知れず、あらゆるハプニングに備えなければならない。」( 08 年6月 21 日「ユーロが強くなれば、原油が上がる」)

 

こう書いたのは、わずか 3 ヶ月前。 いままたアメリカの証券会社リーマン・ブラザーズ破綻を契機に世界は金融恐慌前夜の様相だ。

 

倒産したリーマン・ブラザースの日本法人の負債だけで3兆 4000 億円、史上2番目という規模だ。 世界最大の保険会社AIGも政府の巨額融資を仰いで事実上、政府管理下に置かれたから、日本有数の保険会社に育っていた5つの系列会社にも影響が及ぶだろう。

 

一寸先は闇の様相に、狼狽が狼狽を呼んでいる。 真っ暗闇ほど、恐いものはない。 暗闇に人間を置いておくと気がおかしくなるといわれる。

 

だからここでもう一度、この金融恐慌の真の震源について申し上げておこう。  

 

それがヨーロッパに新しく誕生した通貨ユーロである。 2002 年1月1日に現金の流通が始まると、安定した採用国の経済に裏打ちされたユーロは次第に信頼を集めて、世界の富はヨーロッパやユーロ関連の金融商品に向かうようになった。

 

このために過去5年半ほどで、ドルは対ユーロでほぼ半値に まで安くなった。 言葉をかえて言うなら、それだけ価値を失った。個人も金融機関もドルの下落を嫌って、より安全で有利なユーロや原油などに投資するようになり、円を道連れにドル離れがさらに加速した。

 

かくてアメリカ経済は金融面から空洞化して、金回りが悪くなり、不況に突入した。 それがまずあまり豊かでない人々を直撃、それらの人々が抱える住宅ローン―サブプライムローンの支払いが焦げ付きだした。 それが発端となって弱体化していたアメリカの金融システムに火がつき、ついにはシステム全体が火の車になった。

 

すでに為替の上では、ドルは対ユーロでほぼ半分にまで下落したので、理論的にはそろそろ落ちついてきてもいいころである。 ただ、相場はとかく行き過ぎるものだから、なお注意深く見守らなければなるまい。

考えてみれば、アメリカの困窮の背景にはテロ対策の膨大な軍事支出もある。 これはイスラム原理主義の神権政治に対抗して自由と民主主義を守るための出費であることにも思いを巡らさなければならないだろう。

冷戦が終焉して世界を覆う自由、民主主義、そして資本主義は根底において結びついている。 このシステムはあるべき人間の行動に沿ったものであり、調整はあっても崩壊するとは思われない。
 


by Sanshiro 更新:2008/09/19 04:04 作成:2008/09/18 11:32

政治に声の革命

 

e ブックランドがOKI(沖電気工業)に頼まれて、個々人の特徴ある声を再現する音声合成ソフトの販売代理を頼まれていることについては、前にも書いたことがある。 「自分の声ソフト  Polluxstar 」というネーミングにも参画した。

 

一式 100 万円もするので、研究費で落とせる大学教授くらいでないとなかなか購入することができないために普及が遅れている。 声が出るうちは考えたこともなく、声帯がなくなって困って Polluxstar (ポルックスター)の存在を知ったときには音声収録もできなくてもはや手遅れ、ということもあるようだ。

 

人の声をそっくり再生するポルックスターには、まだまだ使い道があるとにらんでいる。 その一つが議員の政治活動の分野である。

 

政治家も身は一つだから、とくに遠方の選挙区選出の議員はなかなか地元に戻ることができない。 このようなときに自分の声ソフトは威力を発揮する。 議員や秘書がポルックスター を使って、選挙区に何十もある支持者集会に“声の便り”を送ればいいのだ。 議員が忙しいのは支持者も知っているし、聞きなれた議員の声を聞けば納得するというものである。

 

テープレコーダーでは議員が考えながら吹きこまなければならない。 喉が疲れもする。 しかし自分の声ソフトならば、パソコンで打ち込んだテキストを議員そのものの声で語ってくれ、 機械だから疲れを知らない。

 

地元に議員の声のソフトを組み込んだパソコンさえあれば、議員がそこにいるかのように、いつでも おなじみの声で演説し、語りかける。 そのテキストは東京でもどこからでも、議員なり秘書なりがパソコンで打って書いて、メールで送ればいい。  つまりこのソフトは政治家にとっては、自分の分身のような働きをしてくれるツールなのだ。   

 

選挙カーでは、議員の代わりにソフトが議員の声で有権者に呼びかける場面もあるかもしれない。 ウグイス嬢の「最後のお願いにまいりました」もいいが、やはり有権者は立候補者の生の声が聴きたい。 かといってのべつまくなしにマイクを握っていてはたまらないから、ソフトに挨拶させる。 議員自身は手を振っていればよく、あるいは別の場所や事務所で休憩していてもよく、この間、疲れきった喉を休めることができる。 ソフトには決まりきった同じことを繰り返ししゃべらないで済むというメリットがあるともいえる。

 

かくて、投票日が近づくにつれて候補者が疲れきった、しゃがれ声で絶叫する選挙風景は一変することになる。 立候補者は喉を温存してよく休ませ、若々しい美声で演説し、講演して有権者を魅了する。

 

これはまさしく日本の政治現場における“声の革命”ではないだろうか。

 

“声の革命”は政治家のホームページでも起きようとしている。 別の会社の開発になるものだが、ホームページの文章を声にして読み上げることができるようになった。 いまどき目が弱い方もいるし、高齢になれば読むよりも聞きたいという人が多くなる。 そんな有権者のために読み上げソフトを組み込むだけで、政治家のホームページは読むのではなく聴けるようになって、生き生きと活性化する。 自分の声で読み上げることさえも可能だ。

 

政治家ももはやこうしたテクノロジーを駆使しないでは勝利はおぼつかない。 ポルックスターはいわば自分の声をデジタル化することによって、インターネットをつかって増幅することができるようにするものだ。 自分の影武者が無数にできるようなものである。

ソフトも機械であって、最初は誤って読み上げることもある。 それらを注意深くチェックして手直しするとソフトは学習して次第により完全なものに成長する。 このあたりに注意して使いこなせば、個々の政治家のパワーをこれまで以上に大きなものにすることができそうだ。

女神は、新しい選挙のスタイルを可能にするこれらのツールをいち早く取り入れて、“声の革命”を自らのものにした候補者に微笑むに違いない。

 

 

by Sanshiro 更新:2008/09/27 11:22 作成:2008/09/14 06:35

エヴァンジェリストの旅

 

最近、エヴァンジェリストという謎の肩書きの名刺が、見られるようになったという。


本来はキリスト教など宗教の伝道師の意味だが、これが素人には難しい技術やコンセプトを伝える人の肩書きとして
IT 企業から一般のメーカーにまで広がっているというのだ。( 08 年9月 12 日付 日本経済新聞朝刊1面コラム「春秋」)

 

この肩書きを名乗れるのは最上級の技術者だというが、わたくしにはどことなく懐かしい響きがある。

 

本を液晶画面で読むという電子自費出版社 e ブックランドを立ち上げた 2004 年ごろ、その意図はなかなか理解してくれる人は少なかった。 本は紙の上の活字で読むもの、 なぜ、パソコンなどで読まなければならないのだと活字人間は白い目を投げてきた。

 

そして電子出版に乗り出したわたくしを、友人たちは「エヴァンジェリスト」(Evangelist)と呼ぶことがあった。 もう手に負えないといった口ぶりだった。

 

実際、開業してから軌道に乗るまでに1年近くかかった。 しかしながら止めるわけにはゆかない。電子ブックを楽しみながら、 IT 革命を列島の津々浦々に行き渡らせようと踏み切った事業である。 さもなければ日本はインターネットの利用でさらに後塵を拝して、ついには立ち直れなくなる。

 

こんな風に考えての電子出版社の立ち上げだから、エヴァンジェリストと呼ばれると、そうといえなくもないなと、あえて反論することはなかった。 先駆的な発想とビジネスに理解者が少ないのは世の常である。 だからこそエヴァンジェリストなのだ。

いまやそれも、なつかしい思い出になってしまった。 ご覧のように“伝導師”は正しく、 e ブックランドには数多くの電子書籍が並んでいる。 電子出版に対する反発は、携帯電話が普及して液晶画面でデジタル文字を読む習慣が一般化するとともに消えていった。

 

そしてこんどは音声の利用である。 本来、言葉は文字と音声から成っているのに、声の利用が極端に少ない。
しかもこの分野では
Apple 社の iPod 席巻され、日本勢は見る影もない。 このためにわたくしは音声の分野でインターネットの利用を活性化させようと、eブックランドが代表幹事社になってボイスサービス コンソーシアムを立ち上げた。

 

それとともに心配なのは、原油高騰にともなって日本から途方もない額のお金が流出していることだ。 2007 年が12兆円、 2008 年は少しは落ちついてきたとはいえ高止まりしている原油購入のために 20 兆円前後が吹っ飛んでしまう見通しだ。 20兆円といえば、年間の国税収入のほとんど半分にも達するお金である。

 

日本は原油を買うお金の 90 %をペルシャ湾に注いでいる。 流出する一方のオイルマネーをなんとしても日本に還流させなければならない。 このままでは早晩、日本経済は失血死してしまい、地方の自治体はみな夕張市になってしまうだろう。 こう考えて   わたくしは目下、日本を観光大国に列島改造し、劇的に外国人観光客を増やして流出するお金を日本に戻そうと、国際リゾート「アルカディア東洋」構想を練っている。  

エヴァンジェリストの旅は終わりそうもない。



 

 

by Sanshiro 更新:2008/09/15 05:29 作成:2008/09/13 07:21

 

風が吹けば、桶屋がもうかる。

 

思わぬ結果が生じることのたとえだが、いま、世の中で起きているのは「ユーロが強くなったことで、原油が上がっている」ということである。

 

わたくしは国際政治経済とヨーロッパ統合論、中東地域を専らにしている国際政治学者でもある。 1978 年にジャーナリストとしてアフガニスタンのカブールに入ってからは、とりわけペルシャ湾地域の地政学と原油の動向に目を配ってきたから、このことがみえる。

 

突然の原油の高騰に、人々はキツネにつままれたように、訳の分からないまま恐れおののいているので、少し、この場を借りて説明しておこう。

 

これまでの原油の高騰は、第四次中東戦争による第一次石油ショックのときも、イラン革命時の第二次石油ショックのときも、需給関係の見えざる手が働いて、ほっておいても沈静化した。

 

今回の価格高騰は、需要増だけでなく、巨額のマネーが流入しているためで、一向におさまる気配がない。 この背景にある真の原因が EU の通貨ユーロの創出と流通開始、それに伴うドル余りである。

 

ユーロが強くなり、ドルの価値が相対的に安くなり始めたことから、世界の富はEU諸国へ、ユーロ関連金融商品へと向かっている。 基軸通貨ドルはこれまで石油代金、船舶建造の代金など国際貿易の決済通貨として大事にされ、世界各国の外貨準備金にもなって海外で使われてきた。  アメリカが発行しているドルのうち、ほぼ半分はアメリカ以外で保有されている。

そのドルが絶対的に余りだしたのだから大変である。
すでにドルの対ユーロレートは、ユーロ通貨の流通開始時( 2002 年1月)に比べて 54 %にまで落ち込み、ほとんど半分の価値しかなくなった。

 

ドルとほぼ連動している日本の円もほぼ同じ運命をたどっている。 だから強い円のおかげで 1980 年代から 90 年代初めごろ、ヨーロッパの主要都市の5つ星の超一流ホテルでふんぞり返っていた日本人観光客は、いまでは3つ星はおろか、2つ星に泊まるのもやっととなった。

 

EUのユーロが強くなれば強くなるほど、ドルの価値は下がり、それを嫌気して世界の富はますますユーロ関連に向かう。 そのマネーフローの一部があふれて原油や穀物などの商品相場に流れている。

 

かくて「ユーロが強くなれば、石油が上がる」のである。

第二次大戦後から続いてきたドルを軸にした世界の金融経済システムが、ユーロ登場のおかげで地殻変動を起こしている。 理由が理由だけに、この事態はいつ収まるとも知れず、あらゆるハプニングに備えなければならない

by Sanshiro 更新:2008/06/27 02:56 作成:2008/06/21 05:27

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