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びっくりぽんの本は新しい社会を開く扉です

「お金が消滅するというなら、一体、何処へ?」
いまどき、街の人にこう聞けば、「それはパナマでしょう」という答えが返ってくるかもしれない。

ピンポーン。
税金のかからないパナマのペーパーカンパニーに、世界中の名の知れた金持ちや政治家、大企業が天文学的なお金を隠していることが分かった。イギリスなど発覚した各国でのてんやわんやは始まったばかり。この騒ぎに日本が無キズでいられるとは到底、思われない。

まったくこの世の中、びっくりぽんどころか、ドッキリすることばかりである。パナマ文書などは平和な話題のほうで、武力衝突が珍しくないどころか茶の間のニュースの常連になってきた。

心臓に悪い異様な出来事が地球規模で頻発するようになったのはなぜなのか。
それに一つの見方を示してくれるのが「通貨消滅」(ナオミ・フラー著 eブックランド発行 星雲社販売 1800円+税 ISBN:9784434218552)である。分類コードはC0033、ビジネス書のコーナーに並んでいるはずだ。

一般の読者も手に取りやすいようにと、「マイナス金利時代に読む過去と未来のお金の話」というキャッチがつけられているが、この本のスケールはもっと深くてでっかい。人類の文明における通貨というものの発祥からの歴史と、これからのお金のあり方、人類社会のあり様についての提言である。

第1章の書き出しから「お金の無い社会が来ると考えたことがありますか?」という文章で始る。市場経済にどっぷり漬かった日本では“ユートピア論”と受け取る向きがあるかもしれないが、それは誤解というもので、第3章あたりまで読み進むとこの本の本当のテーマがみえてくる。

アメリカの現代のレオナルド・ダ・ヴィンチといわれる発明家であるとともに未来学者のジャック・フレスコ氏が、AI(人工知能)の発達で変貌する社会まで見据えて提唱している人類社会の近未来の構想が丁寧に紹介されている。

「かつて人は日々、食べるものを作るために働いていた。それが科学技術の発達によって食べるものは十分に供給されるようになった。いまや人工知能のおかげで人々はモノを生産する仕事からも解放されようとしている。一方でお金に依存する社会は経済と産業、人類の保全、環境保護の狭間で身動きが取れなくなってしまった」
こう語るジャック・フレスコ氏の論理には傾聴に値するものがある。

AI(人工知能)の急激な発達が社会に及ぼす影響については、日本ではようやく最近になって語られるようになった。囲碁や将棋の棋士がAI棋士に敗れたり、自動車がロボットで組み立てられるのはあたり前、コンピュータによる自動運転までが現実のものになってきたというので一般の関心がようやく高まってきた段階だが、フレスコ氏は20世紀も1976年ごろに、その先を読んで警鐘を鳴らしてきた。
http://www.thevenusproject.com/

AI全盛の未来を見据えたこれまでの日本にはなかったマクロ文明論ともいうべき内容だから、政界、経済界から学会にまで広範に大きな衝撃と影響を与えるのではないだろうか。

わたくしの読後感を申し上げれば、この本は核戦争が勃発した後の世界でも争うことを止めない哀れな人間の性(さが)を描く劇画「北斗の拳」(武論尊原作、原哲夫作画)の、対極に位置する作品ではないかと思う。核戦争後の地獄絵図を描く「北斗の券」に対して、ナオミ・フラーさんが書いた「通貨消滅」は、人々がお金というしがらみから解き放たれ、争うことを止めて暮らす社会への道筋を指し示している。

著者のナオミ・フラーさんは福岡県久留米市の出身。モデルをしていた若かりし日に英国に語学留学するうちに英国人のご主人と結婚して、ロンドンと東京で音楽の版権を扱う音楽出版社を経営した。歌手らのスターを招聘してのイベント会社や衛星放送が高価で珍しかったころに楽曲やBGMの配信も手掛け、1999年に事業から引退してオーストラリア・ケアンズに移住した。

音楽の業界はほかのなによりも早くインターネットの登場によるグローバル化の波をかぶった。ナオミ・フラーさんは生き馬の目を抜く熾烈なビジネスで世界中を飛び回り、音楽家や著名人と親交を深めた女性実業家である。そんな暮らしのなかで彼女が遭遇して目からうろこが落ちるように思ったのがジャック・フレスコ氏の考え方だったという。

この3月にはジャック・フレスコ氏が100歳を迎えるというので、米フロリダでの祝賀会まで出かけ、「通貨消滅」の出版にあたっての推薦の言葉をいただいた。日銀がマイナス金利を導入したときを捉えての果敢な出版をタイムリーと激賞してくれたというフレスコ氏からの序文は、本に収録されている。

「通貨消滅」というびっくりぽんの本は4月25日発売で書店に並ぶ。内容はタイトル以上に刺激的で、この本を読まずしてはもはや現実も近未来も語れないだろうと思われる。すでにジャック・フレスコ氏のいう地球の有限な資源に基づく社会の手法はすでにいくつかの分野で実際に始まっている。

一人でも多くの方が人類の未来を争いの地獄ではなく、パラダイスに導こうとするこの本を手に取って明日のために役立ててくださるよう祈念してやまない。

                      2016年4月15日
               eブックランド社長 横山三四郎

eブックランドとしては珍しい初版3000部という本格的な紙本出版です。部数が多いので、販売は専門の星雲社にお願いすることにしたことをお知らせしておきます。
作成:Sanshiro 2016.04.15 更新:2016.04.15

あの大地震の日から5年になる。
読売新聞(3月9日付朝刊)のトップ記事によると、政府は放射能除染を里山にも広げる考えで、5年間に1兆9000億円の予讃を計上するという。

なにをいまさらと思うのは、あの年、わたくしは放射性物質が地中に入り込まないうちに国民総動員で葉や草に付着しているうちに除染するべきだと考えた。考えただけでなく経済産業の旧林野庁の幹部にも談判し、彼らが動かないとみるとボランティア団体「ひまわりの種まき隊」に呼びかけて、実際に福島・南相馬市の山で落ち葉拾いを行ったからである。

放射能に汚染された落ち葉を、手で拾い集めるという無謀なことは、文部省で放射能計測業務をしたこともある放射能専門家の指導と「この程度は大丈夫」という助言もあってできたことだったが、いまでもあのアイデアを国民運動にできなかったことが悔やまれてならない。

除染のボランティア活動の収穫はといえば、おかしな国と国民について勉強させられたことだった。
1、放射性物質を吸い上げるひまわりなどの草を捨てる場所を、汚染された県市町村さえ用意できなかった。
2、除染の工事や防災のための対策は、大手土木会社が利益のあがる工事が受注できるようになるまでは何一つ、始まらないものであることを知った。そこでは談合までが行われていた。
3、炉心溶融の原子炉を横目に稼働を停止していた全国の原子炉の再稼働が着々と進められて動き出した。いまも北のミサイルを1発、日本海側の原子力発電所に打ち込まれたら日本の社会と経済が半身不随になりかねないはずなのに、原子力発電は国策として進められている。

北のミサイルだけではない。自然の猛威は人知を超えるレベルにまで凶暴になってきている。
これを無視して、手続きが整っていれば再稼働していいと考える学者と役人、政治家さんはどのような頭の配線構造になっているのだろう。明治以来の官僚育成システムと知育偏重の教育のためにもはや日本人は救いがたいほど汚染されていると思わざるを得ない。

そんなことも知らず、一途に奔走していたあの年、2011年11月の落葉拾いを敢行したころのブログをここに再録しておく。

冬こそ放射能除染のチャンス
ひまわりに教えてもらったことは多々あるが、その中で最も重要なことは「セシウムは雪ではないので、消えてなくなるわけではなく、回収しなければ放射能の被害はならない」ということだ。

いま、何百億という莫大な税金を使って行われている除染は、小学生でも分かるこの単純な理屈をまったく無視して進められている。

1) 高圧水で吹き飛ばしても、放射性物質はなくなるわけではない。その周辺に散らしているにすぎない。だから放射線量はあまり下がらないし、風雨があると元に戻ってしまうことさえある。
2) 放射線量の高い側溝のドロや汚染された植物を捨てる場所がない。
3) そうこうするうちに放射能の二次汚染が始まっている。

二次汚染にはいくつものパターンがあるが、一つの原因は福島の農家が各地でおこなっている野焼きである。

農家にとってはいつもの秋と同じことをしているに過ぎないのだが、この秋の田畑の草には放射性物質が付着している。付着しているだけでなく、春からの成長過程で地中の放射性物質を吸い上げている。焼却すると、その灰には 100 倍にも濃縮された放射能が含まれているから、セシウムを空中散布しているようなものである。

これよりも大変な二次汚染は、福島第一原発の西北西の阿武隈山系に降り積もった放射性物質が、季節風に乗って里に吹き飛んできたり、小川や地下水とともに平野部に拡散することだろう。NHKのクローズアップ現代は「新たな懸念 水が運ぶセシウム」(11月8日放映)で少し、取り上げていたが、そんなことは当たり前な話だ。

ここに興味深い調査がある。

山岳地帯に落下した放射性物質は、その9割が葉っぱに付着しているというのだ。「セシウムなどの放射性物質はいまのところ葉に付着しており、それを除去することで9割ものセシウムを回収できるだろう」というのだ。文部科学省の委託研究で筑波大学の恩田裕一教授と気象研究所が合同調査して、9月13日に発表した。

以来、わたくしの頭では「落葉拾い国民運動」のイメージがどんどん膨らんできている。この秋から冬、来年の若葉が茂るころまでが、福島を救う最後のチャンスなのではないかと考えるようになった。このときを逃せば、葉に付着した放射性物質は落葉が朽ちるとともに土中に入り込んで、ちょっとやそっとでは取り除くことができなくなる。

もはや政府の出方を待っている場合ではない。私たち個々人が動くときではないだろうか。

福島に行けば、広大な山野を覆う膨大な森林を前に、除染など到底不可能だと威圧される。しかしながら福島を救うのは今しかないと思う。ひまわりの種まき隊がやったように、人海戦術であの山々に取りつくのだ。そのスケールは数百人ではなく、数千、数万の規模でなければならないだろう。だから「落葉拾い国民運動」なのである。

シルバー世代には未来の世代のために、放射能のない自然を残す義務があると思う。

                                   ひまわりの種まき隊 代表 横山三四郎

作成:Sanshiro 2016.03.10 更新:2016.03.11

30年計画でエジプトから南アまで8000キロ

去年の初夏にゾウが密猟で激減しているというニュースを知ってから、アフリカにのめり込んでいる。

もちろんそれだけではない。
もう一つの理由は、アフリカから多くの自爆テロ戦士と難民たちが生まれているからだ。これはもはや世界の最大の関心事だろう。

しかし、まさかエジプトのアレキサンドリアから南アのケープタウンまで、アフリカを縦断する高速鉄道建設という突拍子もない提案をすることになろうとは、わたくし自身、予想だにしなかったことだ。

それは中国のせいである。
アフリカ進出を国家戦略として進めてきた中国は、いまやアフリカを中国の大陸にしかねない勢いだ。わたくしは明日にもアフリカのどこかの国が共産政権になり、その要請で中国人民軍が駐留するような事態が起きても驚かないだろう。

冷戦終焉の前から、中国はアフリカへの浸透を図り、太平洋岸ではタンザン鉄道(タンザニアーザンビア)を敷いたし、1990年に冷戦が終焉するとさらに資源確保を目的にアフリカ各地での投資を拡大した。いまもエチオピア鉄道(ジブチーアディズベバ)を建設中で、大西洋岸でも海岸沿いの国々を走る鉄道建設を計画して進めている。

日本がアフリカに入り込めるところは、もはやエジプトからの中央突破のルート、アフリカ縦断高速鉄道しか残っていないのである。

わたくしが今年に入ってから「列島改造論からアフリカ改造論へ」という題で、アフリカの諸問題を解決するため連載を書いていたが、その間にも、中国の習近平主席はイランを訪れてテヘラン―マシャッド間の高速鉄道建設を発表した。かつては日本が新幹線を輸出しようとしていたルートだ。

しかし残り物に福あり、アフリカ大陸を縦断するルートは宝の山に分け入るような結果をもたらすかもしれない。

沿線には様々な資源の鉱山が海から遠いために開発されないままに転がっている。もう一つはアフリカ中央部に広がる熱帯サバンナが豊かな農場になって、アフリカを世界の穀倉に変えかねないことである。熱帯サバンナ開発が進めば、穀物を港まで輸送する支線が敷かれて輸出されることだろう。

しかも30年後にはやってくる人口100億時代に、一番、人口が増加すると予測されているのがアフリカなのである。もし何もしないでいたら、いまよりも膨大な数の難民たちが地中海を越えて北に向かい、欧州各国のナショナリズムが激高してEUの結束も吹っ飛んでしまうだろう。その兆候は日々のニュースで私たちが目撃している通り、EU諸国では自爆テロ警戒に疲弊して民生が犠牲になり始めている。

アフリカをどう立て直すかは人類が築いてきた文明・文化を守れるかどうかの攻防の段階に至ったと思う。
すでに中東情勢は日本の安全保障に影響を及ぼしており、そろそろ応分の貢献を要請されそうだ。湾岸戦争のときに日本は参戦の国々に1兆2000億円の寄付をして、ろくに感謝もされなかったことを思い出す。そんなお金を払うくらいなら、アフリカ縦断高速鉄道の皮切りとしてエジプトのアレキサンドリアからカイロ経由ルクソールを走る新幹線建設を提案してはどうだろうか。

インドネシアの新幹線の案件を土壇場で中国に奪われた安倍政権は、つい最近、インドのムンバイとアーメダバード間505キロに新幹線を輸出することで合意した。
インドへの新幹線の輸出では政府の債務保証の条件を外しただけではない。1兆円(120億ドル)を年利0・1%で50年間、融資するだけでなく、15年間、返済を猶予するという条件を提示して獲得したという。いまだかつてない優遇措置である。

こういうことができるのなら、2月下旬に来日するというエジプトのシシ大統領におなじような条件で提案してみてはどうだろうか。これが実現すれば日本は新しい時代のアフリカ支援のあり方を世界に誇ることができるだろう。
作成:Sanshiro 2016.02.15

中央アジアの関ヶ原の戦い

予想していたとはいえ、あまりの中国の手際のよさである。
習近平中国主席はイランへの制裁解除が確定した数日後にはテヘランを訪問して、テヘラン―マシャド間の高速鉄道の建設を取りつけた。

テヘラン―マシャド間の高速鉄道は1970年代後半、日本が新幹線を建設することでイランと合意していたルートである。詳細な調査が終わり、着工するばかりになっていたが、1978年暮れのイラン革命で中断になっていた。

だから2015年7月、イランが核開発問題で譲歩して経済制裁の解除の方向が固まった段階で、わたくしは「地球改造論」(eブックランド 2015年9月11日刊)を電子出版して、なにがなんでも日本の新幹線計画を復活させようと関係者に呼びかけていた。
http://www.e-bookland.net/gateway_a/details.aspx?bookid=EBLS15091100&c=89

「地球改造論」に書いたように、1975年にイランと日本の海外鉄道技術協力協会(JARTS)との間で契約が交わされた新幹線計画は首都テヘランからイラン東部の聖地マシャッドまでおよそ900キロもの距離を結ぼうもの。そのころの日本での営業は、まだ東京=新大阪間の515キロだからその倍近い長さだった。

1976年には運輸・施設・電気・軌道・車両・車務などの各分野の専門家がイランに飛んで現地での調査に入った。日本としては初めての新幹線の海外輸出である、これが成功すれば新幹線は世界中に路線を広げるかもしれない。鉄道マンたちは大きな期待に胸を高鳴らせながら日夜、路線の調査と測量など建設計画に取り組んだ。

テヘランーマシャッドの路線は、地図でいうとカスピ海の南側にそびえるエルブルズ山脈の南麓を東西に走る。気候的にはそう高温でもなく、日本の技術陣にとって未知の問題はなかった。1978年初めには第1フェーズのマスタープラン(総合計画)がまとまり、テヘランから東側100キロの部分に着工するため詳細な設計を含む実施計画の第2フェーズの設計に入った。このときにイラン国内でイスラム勢力による反王政運動が激しくなり、78年暮れにパーレビ国王が出国を余儀なくされて新幹線計画も事実上、ご破算になってしまったのだった。

このようないきさつのあるテヘランーマシャド間のルートなのだから、イラン側もある程度は日本に対して配慮するのではないかと、日本側にはかすかな期待があった。しかし、1月23日の習近平主席とロウハニ大統領の会談後に発表された合意文書は「テヘランーマシャド間の高速鉄道は中国が資金を提供して建設する」と明記して、日本の挽回の余地さえなくなった。

北西部のイラン第2の都市マシャドは、中央アジアへの玄関口に位置している。中国にしてみれば、間に峻険な山岳国家アフガニスタンがあるために、一帯一路の現代のシルクロードを結ぶためにはどうしても確保しなければならないところだ。日本でいえば列島の東西を結ぶ関ヶ原のようなところで、中国は今回の合意でユーラシア大陸の戦略的な要衝を確保したといえる。

日本には、札束攻勢で中国にさらわれてしまったインドネシアでの新幹線計画に次ぐ敗北だといえる。中国はイランがアメリカと外交関係の断絶している間も、テヘランを陰に陽に支援してきた。だから予想はされていたとはいえ、このままでは日本のインフラ関連の輸出は苦境に立つことになる。

いま、わたくしはアフリカに目を転じて、自爆戦士と難民を輩出する温床と化したアフリカを豊かにしたいものと「列島改造論からアフリカ改造論へ」を書いている。ここでも中国は国家戦略として攻勢に出ている。日本も早く目を覚まして戦略を打ち出さなければならない。
作成:Sanshiro 2016.01.26

アフリカは豊かな穀倉地帯に変貌できる

明けましておめでとうございます。
今年のわたくしの仕事初めは電子書籍の連載「列島改造論からアフリカ改造論へ」です。序文ができたので、一足早く社長ブログでご覧ください。

はじめに
まさか恐怖の自爆テロの時代に、局面打開の救世主として田中角栄元首相の名前を聞こうとは思いもよらないことだった。
ほとんど忘れかけていた田中元首相の名前を口にしたのは、JICA(国際協力機構)の職員である。

「いまの中東アフリカはみるも耐えがたい。自爆戦士と難民の群れが北に向かうのを思い止まらせるにはアフリカを豊かにするほかはないと思う。日本はコメ作りを大々的に支援してはどうだろう」と、わたくしが持論をまくし立てるのを聞いていた職員は、「セラードというのをご存知ですか。南米を訪問した田中角栄首相が日本の国際協力を申し出て、不毛の原野として放置されていた熱帯サバンナを世界有数の穀倉地帯に変えたのです」
「いまや大豆の生産でブラジルはアメリカをしのぐ世界一の生産国なのですよ」という。

そして「セラードのような熱帯サバンナは、じつはアフリカ大陸にブラジルの何10倍も広がっているのです。これらの熱帯サバンナを開墾し、栄養分を失った土地をブラジルがやったように改良すれば、様々な農作物を育てることができるようになるはずなのですが・・・」と、歯切れが悪い。
これまでもブラジルの成果をアフリカに活かそうとする日本とブラジル、モザンビーク3カ国の合同開発計画があったけれども、とん挫しているのだという。本文で詳述する2011年から10年計画でスタートしようとした「プロサバンナ計画」のことだ。

後日、取材して分かったことは、開発計画が明らかになるやロンドンに本拠地を置く環境保護団体が反対運動に乗り出し、日本はもちろん世界各国の自然保護や野生保護のグループに呼びかけて抗議行動を始めた。昔からの地元の農民たちにも「だまされるな」と吹き込んで事業に着手さえできない不穏な状況を作り出した。このためにせっかくの計画が執行できないまま宙に浮いてしまったのだという。

この事態は「残念なことですね」といって簡単に片づけるわけにはいかない重大な問題をはらんでいると思う。
わたくしは1989年にケニアでゾウの密猟を取材したことがある。だから自然保護、野生保護の大切さは知っている。当時は「ゾウが生きられないような地球は人間も生きられない」という彼らのスローガンに感心し、同感もした。
しかしいまの中東アフリカはそれどころではない。自爆テロ戦士を輩出するのみか、絶望した難民たちの群れが北方のEU諸国に殺到している。その数は2015年の1年だけで100万人を越えた。

「自然破壊を許すな」といういつもながらの論理で開発反対運動をあおり、妨害する環境保護団体は時代錯誤に陥ってしまったといえよう。百歩譲ってそれが善意から出た抗議だとしても、中東アフリカ情勢は激変した。アフリカ市民を豊かにしようとする熱帯サバンナの開発に反対する環境保護団体は、いまや事実誤認によってゾウたちを殺す側に回っていることに気が付いていないのだろうか。
もう希望がないからと人間が逃げ出すようなアフリカで、ゾウなどの野生動物が生きられるわけがない。「人間が生きられないところではゾウも生きられない」と現実は逆転してしまった。実際、おとなしいゾウは象牙を売って活動資金にしようとする過激派組織の餌食になって日々、急激に数を減らしている。

それともロンドンに本拠地を置く環境保護団体の動きは旧宗主国の政府の意向を汲んでのことなのだろうか。そうだとすればうなずけなくもない。
奴隷狩りの時代からアフリカを支配してきた旧植民地帝国主義の国々は、相も変わらずアフリカ市民を下僕扱いして、貧しいままに捨て置こうとしているようにみえる。多くのアフリカ市民は劣悪な生活環境のままに暮らしており、まともな教育も受けられない。だから人々は希望を失って死をも賭して地中海に乗り出している。

しかしながら熱帯サバンナを肥沃な農地にしてアフリカを豊かに変貌させようとする試みを邪魔している環境保護団体の抵抗は、もうアフリカ市民の支持を得られないだろう。国際情勢が様変わりしたからばかりではない。計画の中断騒ぎが報じられて、ブラジルを世界有数の農業大国にした「セラードの奇跡」についての情報が一般のアフリカ市民の間に広く流布されて浸透したからである。
あのブラジルがなぜ、五輪を開催できるほどの農業大国になったのか。その秘密が日本の国際支援で始まった熱帯サバンナ=セラードの開墾にあったという事実を、知識欲に燃えるアフリカ市民の多くが知るようになった。その熱帯サバンナがアフリカにはほとんど無尽蔵に広がっていることを知って、我々もとブラジルの現地に視察団を送り込む国が増えている。
これらのアフリカ市民はもうすぐ開発に反対する環境保護団体の偽善を見破って、こんどはアフリカをサファリを楽しむ遊び場として、貧しいままに捨て置こうとする無責任を追及しはじめるに違いない。

野生動物の保護についていえば、ブラジルのセラードでは野生の動植物の環境保全にも気が配られている。農場周辺には自然保護回廊が縦横に張り巡らされ、熱帯雨林を不法に伐採する悪い輩は、雲があっても闇夜でもマイクロ波センサーで地上を観測できる日本の衛星「だいち」によって探知されて即座に捕えられるようになっている。アフリカ上空に同様の農業専用の気象衛星が打ち上げられて利用がはじまれば、夜陰に乗じてゾウを密猟する一味をみつけ出して、摘発に威力を発揮するだろう。

日本は急ぎ、アフリカ戦略を打ち出して、改めてアフリカでの熱帯サバンナ開発を始めるときがきている。第1号のモザンビークでの計画がこじれていて再開が難しいのであれば、ほかの希望する国で始めればいい。それも複数の国の、複数の土地で、同時に着工して競争させながら進めるのがいいかもしれない。ブラジルで大成功をおさめたこの方法は「ビッグプッシュ」と呼ばれる。

わたくしは自爆戦士と難民たちが早く故郷に帰れるようになることを祈ってこの原稿を書いている。それにこのプロジェクトは爆発的に増え続ける世界人口と食糧問題の解決にも役立つはずだ。
1987年に50億人といわれた人口は、2011年には70億人に達して、現在73億人。国連人口白書は2050年を過ぎるころには100億人に達すると予測している。
これほどの人口を養える食糧を新たに生産できるのはアフリカのほかにはない。ケニア1国だけで日本の水田面積をすべて合わせたくらいの稲作に適した土地がある。これらの土地はゾウなど野生動物たちの聖地である国立公園とは重複しないのである。

これまで放置されていた原野を、ブラジルで培った技術で開墾し、耕作に適した田畑にすればアフリカは世界の人々を救う穀倉地帯になる。
日本人は大村智教授のオンコセルカの特効薬でノーベル医学・生理学賞を受賞した。大阪大学微生物病研究所の堀井敏宏教授が発見したマラリアワクチンももうすぐ実用段階にはいる。
人類社会は科学技術の発展とともに進化し、成長してきた。どこにも負けない農業の技術を持つ日本人は、こんどは幾多の障害、妨害を乗り越えて必ずや、緑の革命を実現してアフリカ市民を豊かにすることだろう。

それはわたくしたちの決意にかかっている。

                     続く連載をご期待ください。
作成:Sanshiro 2016.01.04

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