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国民を戦地への道――東京新聞

安部晋三首相が4月19日発売の米誌「Time」のアジア版で、「THE PATRIOT」(愛国者)として表紙を飾った。6ページの特集記事も掲載された。

「愛国者」と称されて、首相はニンマリかもしれない。日本人の読者のなかには「たいしたもんだ」と受け止める向きが多いかもしれない。しかし「愛国者」という言葉には「困りもの」として侮蔑するニュアンスもある。とりわけ国際政治の世界では、眉をしかめて語られる狂信的な政治家を指すことをご存じだろうか。

フランスには有名な愛国者がいる。お国自慢の多いフランス人のなかでも国を愛してやまないル・ペン氏である。

フランス至上主義のル・ペン氏は国民戦線を創設して活動してきた。フランスを強く愛する立場から外国人移民やEUに反対する国民戦線は、極右とみなされて国政選挙での支持率はいつも10%に満たない泡沫扱いだった。近年、実の娘が党首になってから、失業率の高止まりや外国人労働者がらみの事件が多発する社会情勢を背景にやや支持率を上げているようだが。

国際政治の世界で愛国者が鼻つまみなのは、帝国主義の果てに第一次、第二次の世界大戦という大きな悲劇を経験したからである。だから他所の国が反発しそうな過度な愛国主義や国家至上の発言は、まともな政治家ならばつつしむのが常識なのだ。それぞれの国が国境を接するヨーロッパではこの傾向は強いようで、国家主権を超国家が制御すEU(ヨーロッパ連合)が誕生した。

ヨーロッパ諸国がまとまって創りあげたEUの本質は不戦協定だといってよい。人が人を殺す戦争というものが国家主義を掲げる愛国者たちの暴走を野放しにするところから勃発する。戦争の原因は国家主権を掲げる国民国家システムそのものにあると喝破したジャン・モネらは、国家の主権を越える機構を創出して国が勝手な振る舞いができないようにしたのである。

「EUの父」とされるジャン・モネは、朝鮮戦争勃発のころ、「手をこまねいていれば、ヨーロッパにも主権尊重と保護主義を叫ぶ愛国者たちが息を吹き返して再武装を始めるだろう。そうなれば増大する軍備予算は社会改革を押しつぶして、またまた戦争への道をたどることになる」と考えた。

そこで急ぎ、当時、戦争遂行の道具と考えられていた鉄鋼とエネルギー(石炭)を国家を越えた超国家機構コミュニティに委ねる提案を行った。これがまだ悲惨な戦争の記憶の消えない各国民に受け入れられてヨーロッパ統合はスタートした。

こんどこそ平和を守ろうとするヨーロッパ統合運動は、東欧諸国の動揺を招いてついにはベルリンの壁を砕き、鉄のカーテンを引きづり下ろした。ドイツは「ドイツのヨーロッパではなく、ヨーロッパのドイツとなる」と誓って東西分断の第二次大戦を起こしたペナルティを解いてもらった。

四半世紀前のことだが、いままた自由と民主主義を求めるウクライナ国民がEUへの参加を求めて、民族主義を色濃いロシアのプーチン政権をあわてさせている。クリミア半島のセバストーポリは150年以上前のクリミア戦争のころ、トルストイが書いた従軍記「セバストーポリ」を読んで涙したロシア国民には忘れがたいところだ。

降ってわいたようなクリミア情勢が、アジアに波及した。

戦後体制の変更を目論んでいるとみて安部首相を警戒していたアメリカのオバマ大統領が、ころりと態度を変えた。クリミア情勢の展開次第では民主化したロシアが西側民主主義陣営に距離を置きかねない。消えたはずの東西冷戦が復活するようなことがあれば、中国共産党も強気に出るようになって極東アジアも不安定になる。こう考えたオバマ政権は、急ぎ、安部政権の抱き込みに方向転換した。

万が一、朝鮮半島などで戦端が開かれるようなことがあったら、米軍は兵力を投入しなければならないが、アメリカは朝鮮戦争では死者4万を含む14万人の死傷者を出し、ベトナム戦争でも苦杯をなめた。いくら同盟国とはいえ、米兵が大量に犠牲になったアジアでまた戦争をすることは国民が認めないだろう。こうなると戦争のできる国作りに向けて集団的自衛権の強化を模索している日本の安部首相は、とても役に立つ頼もしい存在にみえてきたのである。

アメリカは、あれほど渋っていた皇室行事がからむオバマ大統領の公式訪問を受け入れ、集団的自衛権の動きについても評価すると言いだした。アジアでの有事はアジア人同士でやり合ってほしいという魂胆がみえみえである。

5月15日、安部首相は自ら任命した有識者の懇談会が安全保障に関する報告書を出したのを受けて、憲法解釈変更の方向を表明して、政府、与党に検討を指示した。これを報じた東京新聞はトップページで「国民を戦地への道」と横組みの大見出しをつけた。国家主権を封じて戦争をなくしたヨーロッパとは真逆の方向に日本は走り出した。

安部政権が天皇元首の復古主義を掲げて誕生したときから、わたくしが心配してきたことである。2013年4月には電子本と紙本で「ノーベル平和賞の超国家EUの知恵」を出版して注意の喚起に努めてもいる。電子書籍は無料で配信しているので下のURLからダウンロードして読んでいただきたい。
http://www.e-bookland.net/gateway_a/details.aspx?bookid=EBLT13030500&c=143

これは日本のみならず、中国などアジアの国々の人にも読んでもらいたいものだ。人々が国家主権を振り回して怒り狂ういまこそ必要な本だと思う。戦争などしないで済む方法はすでに確立されているのである。






作成:Sanshiro 2014.05.16 更新:2014.05.28

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