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e ブックランドがテレビ東京の番組「カンブリア宮殿」(2010年 12 月9日夜)で紹介されて、数日、問い合わせが続いた。電子出版の成約も少なくなく、編集に追われている。

 

それで思い出すのは 2005 年6月8日、NHKの朝の報道番組「おはよう日本」の「まちかど情報室」で e ブクランドが取り上げられたときのことだ。あのときも北は北海道から南は沖縄まで、日本列島各地から電話がかかってきた。

 

ただ当時は、電子出版ということがまだよく理解されていなかったと思う。問い合わせてきた人の半分以上が紙の本の出版社と勘違いしていた。それでもNHKの紹介で、立ち上げてから 8 カ月、鳴かず飛ばずだった e ブックランドには、コンスタントに電子出版と紙本出版の注文が入るようになり、一躍、全国区の電子自費出版社になり、その勢いで2ヶ月後の国際ブックフェアに出展した。ありがたいことだったが、同時に列島規模で情報のネットワークを握っているNHKの凄さ、怖さをも知った。

 

いまも続いている「まちかど情報室」という朝のNHKニュースのなかのコーナーは、裏では若手の記者が数人、新しい情報、珍奇なる役に立つ情報を探して血眼になっている。地方支局から本局にあがってきた若い記者たちにとってはセンスを問われる登竜門であるらしく、競り合いも厳しい。電子自費出版社という前代未聞の e ブックランドを発掘した記者は大喜びで、わずかに後手を踏んだ記者はしきりに悔しがっていた。

 

「カンブリア宮殿」は作家、村上龍さんがプロヂュースするテレビ東京の人気番組である。 e ブックランドは著者の取材をふくめれば都合4回もカメラ取材を受けた。制作会社の取材記者は、テーマが注目の電子書籍で、村上龍さんと阪本龍一さんが立ち上げたアプリ出版社「 G2010 」が出版界に激震を引き起こしているときの番組だけにかなり神経を使っているようだった。

 

「カンブリア宮殿」が放映された翌10日、 NHK の夜9時からのニュースウオッチ9は、偶然なのかどうか、村上龍さんの誘いに応じて新作をアプリ出版社「 G2010 」で音楽つきで出版するという瀬戸内寂聴さんにフォーカスした映像をかなり長く放送した。これが「カンブリア宮殿」の番組をバックアップした形で、電子書籍時代の到来を人々に強く印象付けたことが著者からの反応でうかがえる。

 

わたくしが繰り返しいっていることだが、紙の本がこれでなくなるとかいうことではない。紙にまさる便利で使いやすい媒体はないのであって、紙本出版ビジネスは永遠に続く。

 

ただ、作品と読者、それを結ぶインターネットが誰しものものになり、しかも携帯や iPad のような読書端末がこれだけ身近なものになった。ハードとソフト、それに流通の3つの要素がかみ合ったからには、情報はなにも紙の上に印刷された活字文字だけで流通する必要はなく、電子機器を通しても流れることになるのは自然なことといえよう。生きるために、自らを守るために情報を必要とする人間は、それらを取捨選択して使うだけだ。

 

e ブックランドの役割は、ますます大きくなりそうである。


 

作成:Sanshiro 2010.12.29 更新:2011.01.18

『ブック革命―電子書籍が紙の本を超える日』も販売

 

ソニーが 12 10 日から、再び電子書籍端末を売り出す。その名は「リーダー」( Reader )。 2004 年に「リブリエ」 (LIBRIe) を発売して以来のことだ。

 

しかもソニーは「リーダー」で読む電子書籍のなかに拙書『ブック革命―電子書籍が紙の本を超える日』(日経 BP 刊  2003 年)を入れたいので、ソニーストアのオープニング( 10 日)までによろしくと版元に依頼してきたという。

 

ソニーから電子規格 BBeB (ブロードバンド・イーブック)をいただいて e ブックランドを立ち上げたわたくしとしては感慨を禁じえない。あれから7年である。

 

2010 年、日本の電子書籍を読む端末市場ではアップル社の iPhone iPad が大成功を収めた。それでもソニーはアメリカで売れている「リーダー」をなかなか日本で発売しようとしなかった。

 

7年前の「リブリエ」プロジェクトは無残な失敗に終わり、その教訓は長く尾をひいた。紙本の出版社から売れ筋の作品を得られないこともあって撤退を余儀なくされ、煮え湯を飲まされた形のソニーとしては、慎重にならざるを得なかった。

 

しかも当時、ソニーは深刻な経営危機に見舞われていた。それにもかかわらず電子書籍端末の開発部門を温存して、再起を図ることになった背景にはストリンガー会長の意向があると聞いていた。ジャーナリスト出身だけに、文字情報を扱うこの分野の大切さが分かっていたからに違いない。

 

だから、ソニーの読書端末ビジネスへの復帰にはいくつかの意味があると思う。その 1 つは日本の電子書籍ビジネスは、ついに本格的に始まったと判断したことである。

 

10 日には、ライバルの出方を見守っていたシャープも「ガラパゴス」と名付けた新しい読書端末のためのストアをオープンする。携帯三社はすでに iPhone に対抗するアンドロイド OS 搭載のスマートフォンを相次いで投入して、今年のクリスマス商戦は異様な熱気に包まれようとしている。

 

この状況は、いよいよ紙本と電子書籍の本格的なバトルの戦端が開かれたとみることもできる。リブリエの悲劇を知る人々は果たしてソニーが撤退に追い込まれたように、今後、各社の電子書籍端末が作品不足と過当競争で枕をならべて討ち死するおそれはないのかどうかと心配している。

すでに大手出版社による著者とその作品の電子分野での著作権管理の強化、言葉を換えれば著者の囲い込みが本格的に始まったとみることができる。

数日前、講談社の野間省伸副社長から、わたくし宛に「ご挨拶」が届いた。同社の著者全員に宛てたと思われる書簡は、「今後、拡大が予想される電子書籍市場が日本の出版界にもたらす大きな影響は、決して無視できるものではありません。かといって、いたずらに悲観すべき材料でもありません」と述べ、さらに「すぐれたコンテンツを読者に、そして市場に提供する手段が増えることは、むしろ望ましいことでもあります・・・いわば才能の拡大再生産こそが出版社の役割です。」と書いて、デジタル化の波を正面から受け止める姿勢を見せた。

 

そのうえで書簡は、講談社は著者に新たに「著作のデジタル化利用許諾契約書」を送るので、ご賛同いただきたいと今後の対応策を明らかにした。これによってもの書きはその著作の著作権の管理を、出版社に委ねることが一般的になってゆくことが考えられる。出版界の雄、講談社の野間副社法がこのような書簡を出すにいたったことは、村上龍氏が立ち上げた電子書籍販売会社「G2010」のインパクトの大きさをもうかがわせている。

じつは講談社など大手出版社はすでに電子書籍の配信サービスでも、すでに精緻なネットワークを築き上げている。わたくしの書いた『ブック革命』にしても、凸版印刷の電子書籍販売の実験サイト、ビットウエーで出版直後に配信されており、いまやビットウエーは電子書籍の取次を標榜している。取次システムはとうに戦列を整えているのであって、コンテンツの面からハードの売れ行きを左右できるほどの力を持っているとわたくしはみている。

 

かくて、もの書きもまた、デジタル化の波にさらされ始めた。
もの書きがこの状況をどう考えるのか、そこに未来の日本の出版界の行方がかかっていると思う。

 

ビジネスにおいては、囲い込みとガラパゴス化は、競争を生き抜くためには当たり前のことだ。善悪の問題ではない。しかしながら言論の自由を大切にするもの書きは、可能な限り自らがガラパゴス化されてしまわないように、賢く身を処すことが大事ではないだろうか。

本というのは著者にプラスして出版社の編集の手が加えられてモノになる。だから出版社がいわゆる版権を主張するのは当然で、著者もこのことは尊重しなければならないと思う。だから論点は、過去に出版した作品ではなく、これから出版する作品を紙本の出版社から出発するのか、それともまずはeブックランドのような電子出版社で電子出版から出版するのか、というところにあると思う。

付け加えるならば、最近、増えている紙本出版社の倒産で売り場を失った本、あるいは出版社で絶版にされた本は、電子出版して再び陽の目をみさせることには意義があるだろう。すでに過去に絶版になってしまった本は、いいものであれば電子出版に向いていると思う。たとえ少ししか売れなくとも、本のスキャンコピーと出版費用が極めて安いのでペイする可能性はある。

 

大切なのは文字である。紙の上の文字でも、液晶の上の文字でも伝えるためのツールであることには変わりはない。どのような時代にあっても、いいものが売れるし、便利なものがいい。安くても面白くなければいらないし、高くても いいものなら買うし、たで喰う虫もいる。

 

電子書籍と紙の書籍の激突は、バトルではなく、新しい未来のための変身、羽化がはじまったとみたいものである。 e ブックランドはその先端を走ってきたし、これからも走り抜く。ハードはガラパゴスでも、ハートはガラパゴス人間であってはほしくないと思うからだ。

作成:Sanshiro 2010.12.05 更新:2010.12.22

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