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講談社が iPad で新刊を発売する。野間省伸副社長が、作家の京極夏彦さんとともに記者会見して発表した。(5月 20 日夕)

 

日本の商業出版社では、紙本の出版・流通・販売がセットのビジネスモデルになっている。それを最大手の講談社が自ら崩すということだ。5月 15 日に紙本で発売の京極さんの本を6月上旬に AppStore で発売するというのだから、まだへっぴり腰だが、ほぼ同時出版といっていい。講談社の実務を取り仕切る野間副社長としても清水の舞台からの心境だろう。

 

なにごとも右ならえの日本だけに、ほかの出版社から中小零細までが電子書籍へ、アプリ(携帯で読む作品)へと雪崩を打ちそうである。 一足先に iPad  iPhone のための携帯出版を進めて、 APPStore で第一陣の発売を開始している e ブックランドは、アプリ制作の現場ですでにそうした現象が起きていることを知っている。

 

しかし、ちょっと待てよ、とほおをつねってみる。

 

ソニーと松下(当時)が電子書籍端末リブリエを発売した 2004 年、そのころも電子書籍ブームがあった。そしてそのときも出版社の最大手の代表として野間副社長は、ソニーに協力的な姿勢を見せ新潮社の社長らとともに一緒に電子貸本屋「タイムブックタウン」(資本金 10 億円)を立ち上げた。

 

京極氏はといえば、大沢在昌、宮部みゆきらのミステリー3羽ガラスで「大極宮」のホームページを立ち上げて、作品の電子化と販売を試みていた。

 

その結果は、ソニーの端末リブリエはとんと売れず、開発チームは日本を捨ててカリフォルニアに逃れざるを得なくなり、電子貸本屋「タイムブックタウン」も閑古鳥が鳴いて、 2009 年2月末に店仕舞いである。

 

それだけに、果たして今回の携帯出版ブームがどこまで進むのかは、まだまだ様子をみなければならないと思う。

 

日本で電子書籍が普及しない理由は、いくつかの要素があってみえにくいが、もっとも大きいのは本という紙媒体には読みやすいなどの優位性があるということだ。グーテンブルクの活版印刷以来、 500 年の歴史を持つ紙の上で文字を読むという便利さは相当なものである。

 

インターネットの普及と、ネット上の書店アマゾンの登場に危機感を深めた出版界が書店を駅ビルに構えるなど、利用者が本を買いやすくする努力をしたこともある程度まで奏功して、電子書籍の普及をブロックしたといえる。

 

これらは表向きの理由で、ソニーがリブリエを売ろうとした「タイムブックタウン」に出版社が売れ筋の電子書籍を出さなかったという裏の事情がある。

 

電子書籍が本流になっては、紙本の制作・流通・販売の既存のビジネスモデルが崩れる。社長や副社長がいい顔をみせても、現場の編集者たちは頑として動かなかった。「タイムブックタウン」にはカビの生えたような大作家の名作を電子化して提供して、真面目にやっているようにみせて、新刊は紙本で出すという従来の手法を崩すことはなかった。売れ行きが止まったころに提供される電子書籍に読者がつかないのは当たり前のことだった。

 

そもそも期間限定の貸本屋という意味を込めた「タイムブックタウン」という名称にその意図は透けていた。これではリブリエなど売れるわけがない。

 

かくてソニーの電子書籍端末の開発担当の技術者たちは、もっと自由なアメリカに向かってリブリエをベースに新しい読書端末 Sony Reader を売り出して再起を図った。それを見たアマゾンがキンドルを作り、アップルは iPad を開発して、世界中で販売したところが、製造が間に合わないほどの爆発的な売れ行きである。

 

それでも日本と欧米には異なる事情がある。日本列島でしか通用しない日本語もある。電子書籍は環境保全にいいなど、メリットがあるけれども、日本には出版社などが営々と築きあげた取次による流通と書店販売システムがある。電子書籍はそれを中抜きにして、いまでも苦しい出版社、書店経営を悪化させる。

 

日本の出版業界が坐してみているとは到底、思われない。京極氏を同道しての野間講談社副社長の記者会見も、またも繰り返されるパーフォーマンスの一つとクールにみていたほうがいいだろう。 iPad ブームにもかかわらず日本の電子書籍の普及が直線的に進むとはどうも考えにくい。

こうした状況を跳ね返して、電子書籍が日本で定着するには、電子書籍のメガヒット作品が生まれなければならないのかも知れない。


作成:Sanshiro 2010.10.12 更新:2010.10.17

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