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図書館も本の対価を著者に払いましょう

 

不況が深まってきた。

 

こんなとき、時々、考えるのは物書きたちのことである。 本は売れない、だから印税も少ない。 かといって雑文の注文もそんなにはないだろう。 書くことが好きな、だから物書きと呼ばれる人々は、どうやって日々の糧を得ているのだろうか。

 

作家の楡 周平さんが、先日、 JRPA (日本電子出版協会)での講演で、解雇された派遣社員らの年収が300万、 350 万というニュースを聞いて、「へー、そんなにもらってんだ」と思ったという。

 

実際、“夢の印税生活”をしている作家などはほんの一握りでしかない。 出版社は点数を出さないと資金繰りが苦しくなる流通システムのために、本の数だけは出すものの、印刷部数は初版1万部も刷れば多いほうという時代になった。 そうすると著者の印税は 10 %が一般的だから1500円の本だとして、 150 万円ということになる。 数千部の初版だったら、1冊書いて数10万にしかならない。

 

作家といえども玉手箱から何かを出す手品師のように本が書けるわけではない。文章を推敲したり調べ物をしたりで、1冊のまとまった本を仕上げるには時間がかかる。 まっとうな 作家は、よくがんばっても1年に1冊から1.5冊くらいが精一杯なのですと楡さんはいう。 運よくベストセラーになった人は別として、物書きの実入りは推して知るべしである。

 

IT 革命とインターネットの普及にともなって、日本語が衰退しているといわれて久しい。 それに輪をかけているのが、こうした物書きといわれる方々の待遇の問題ではないだろうか。

日本語の現場には構造的な悪循環が起きて、事態は日々、悪化している。 こういうときに
日本語が好きで好きでたまらない物書きを、このような境遇においていいのだろうか。 日本語のプロフェッショナルたちが、思う存分に書き、多くの作品を出せてこそ、日本語が輝き、少なくなる一方の本の読者が増えるのではないだろうか。

 

IT 革命は日本経済が世界のマーケットで生き抜くためには欠かせないことで、これをやめることはできない。 社会のネット化は避けられず、日本語の衰退を IT 革命のせいにしてそれにブレーキをかけるのは時代錯誤でしかない。

 

ならば、どうすればいいのか。 一つの解決策が、全国の図書館で読まれる本を有料にして、作家、物書きに、適切な閲覧料金を支払うことである。もはや図書館は”タダの貸本屋”であってはならないと思う。

 

ヨーロッパでは EU が「著作権に関する指令」( 1992 11 19 日発令)を出して、物書きの権利を尊重するように求めてから、図書館での閲覧であっても著作権者(著者)に閲覧料を支払う国が増えている。   これを公共貸与権(公貸権)という。

 

図書館のような公共の施設であっても、著作物に対価を支払うということが、実際に行われているのである。イギリスあたりでは1冊につき4円ほどが著者に支払われている。 物書きは、たとえ小額の支払いでも、閲覧件数などが記載されていて、とても励みになるのだという。 もともとはデンマークやドイツで半世紀以上前からあった制度であることは、拙書『ブック革命』(日経 BP社   2003 12 月刊)で書いた。

 

図書館は本をただで読むところと考える風潮の強い日本では、びっくりする人が多いかもしれないが、不況がここまで深まると、物書きにたいする冷酷な仕打ちは人権問題だ。 図書館で働く司書たちは、急ぎ、発想を変えて対応を考えるときである。 その気にさえなれば、閲覧はネットでデジタル処理されているから全国規模で集計するのは造作もないことだ。

して、それをだれが集計し、だれがどのように計算して、お金を振り込むのか。 ここに課題があるが、本の売れ行き不振と日本語の乱れ、衰退は日本と日本民族の将来にかかわることだ。 政府の指揮のもとに、IT革命を推進する総務省と日本語を守る文部省が担当すればいい。
 

 

e ブックランドでは、物書きのみなさまに寄与すべく、3月にはサイトを刷新する。 PDF 作品についてのリニューアルだが、有料にすると売れないといわれ、そして実際にダウンロードが少ない有料の電子書籍が、少しでも多く利用されるように、読みやすく、かつ決済が簡単にできるようにする予定で、作業が始まっている。

 

公共貸与権の帰趨は、日本語の行方、ひいては日本民族の未来にもかかわるとさえいえる。 物書きは「貴重な知的所有権に当然の対価を払え」と、堂々と声を上げましょう。 



 

作成:Sanshiro 2009.02.14 更新:2009.02.16

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