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「疎開の話です」というから、戦争中に日本の地方に疎開した昔のことを書くのかと思っていた。

ところが出版されたノンフィクションを読めば、地方は地方でも満州だという。戦禍を逃れて満州の鞍山に行くことも、当時の日本では疎開だったとは知らなかった。

 

e ブックランドで出版になった『おじいさんが孫に語り継ぐ疎開話』(愛波磐根著)はじつに興味深い。太平洋戦争末期の日本の世相、そして満州で起きた出来事が手に取るようだ。

 

筆者が日銀の調査マンだったこともあるかもしれない。大きなスケールで激しく動いていた満州の様子が、日々の人々の暮らしに至るまで、著者の目で数字まで添えて正確に描かれている。

 

ソ連軍が参戦して日本の支配が終わった後、満州支配をもくろむ蒋介石の国民軍、これを駆逐する毛沢東の八路軍と、三者入り乱れて刻々と変わる緊迫した政治状況の描写も息を飲むほど鮮やかだ。もちろんその中で負けた日本人社会は、不安のどん底でもみくちゃである。

 

作品の表紙は赤、カーキー色、それとブルーでデザインされた。これは著者が忘れようにも忘れられないソ連軍の赤、毛沢東軍のカーキー色、蒋介石軍の青だという。可愛い孫が生まれて、いよいよ書き残しておかなければと書いたおじいちゃんの疎開話は貴重な歴史資料にもなっている。

 

戦後は遠くなりにけり、といわれて久しい。しかし、いま再び日本を取り巻く状況は、冷戦終焉以降、これまでになく流動的になっている。いつ何時、大変動が起きないという保障もなくなってきた。

 

このような時代に、国際政治というものがかく動いた、動くのだということを克明に記録した『おじいさんが孫に語り継ぐ疎開話』は目を通すに値する。孫に語り伝えるのはもちろん、すべての日本人が読み、語り継がなければならないノンフィクションである。


作成:Sanshiro 2007.05.26 更新:2007.06.01

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