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京都在住の画家、山口ももりさんとはネットの仲である。

 

コトの始まりは、ももりさんのブログだった。検索エンジンで、ももりさんがわたくしの拙書『ロスチャイルド家』(講談社現代新書 )に言及していることを知ってサイトを訪ねてみると、自分の絵をカットに飾って達者な文章でブログを書いていた。

 

その絵がいい。じつに様々なモチーフ、手法の絵をこなしている。ガラス板に普通の絵を描くのと逆の順番で顔料を塗るというガラス絵はことのほか鮮やかな発色である。

 

拙書を宣伝していただいた御礼に、 e ブックランドでこれらの絵を画集にして無料で電子出版して差し上げたいと申し出た。二つ返事だった。電子出版だけでなく、近々、個展を開くので紙本の画集もパーソナル出版したいというので、それも手がけることになった。もともと e ブックランドは「 e-Book から紙の本へ」を掲げる電子出版社である。

 

数ある絵のなかで、どれを画集にするのだろうか。ももりさんにまかせるほかはないが、間もなくメール添付で送られてきた絵の1枚がディスプレー一杯に広がったとき、これまでに見たことのない鮮やかな色彩の輝きに息をのんだ。
 

南仏のエクサンプロヴァンスの花市をテーマにした、画集の表紙を飾ることになるガラス絵だった。大きくてディスプレーに入りきらないために画像をいろいろと動かすうちに、絵のどの部分を小さく切り取っても、快い色彩のバランスがあることに気付いた。山口ももりという人はとんでもない逸材であるに違いないと二度惚れした。

 

画集『花花 人人・・・そして宇宙たち』は、滑り込みだったが京都随一の繁華街、寺町通りの画廊「カト」での個展に間に合った。 e ブックランドで電子出版になったのはもちろん、アマゾンでも販売が始まっている。

 

アマゾンには出版 社からの推薦の言葉としてこう書いた。

 

ももり作品にはどこかしら動きがある。快い色彩のハーモニーがある。自由闊達なタッチとフォルム、色の交響曲はだれにもまねができない。デザインから出発して書道の奥義に迫り、そのうえで絵画に戻ったというただならぬキャリアのアマルガムから生まれる作品である。伝統の書道をバックボーンに、これからが楽しみな日本の女流画家である。」

 

後で知ったことだが、ももりさんは 27 歳のときに著名な書家だった父、田中香雲氏が亡くなってから 30 年間、書の世界にのめり込んで腕をあげて審査員にまでなったという。なるほどである。どんなに奔放にみえる絵であっても、隅々にまで張り詰めた気配りが行き届いている。高みに上りつめた筆が描き出す絵はいずれも屈託なく、人の気持ちを快くしてくれる。白と黒だけの墨の抽象世界を極め、さらには旅行をして世界中の色を見つめればこそ、このような絵が生まれるものであるらしい。

 

パソコンでメールを振り返ると、ももりさんがブログで拙書の宣伝をしてくれたことにわたくしが感謝の意を書いたのは4月 10 日である。それからわずかに 3 ヶ月ほどしかたっていない。なんという急展開か!

ヴァーチャルとリアルを行き来するうちに思わぬ果実を結ぶ。現代の利器インターネットの効用はやはり大したものだ。しかしハプニングがなかったわけではない。とても便利だから、願ったことが思うようにかなうからこそ、細心の注意も払わなければならないツールのようだ。

作成:Sanshiro 2006.07.17 更新:2006.07.20

 

パーソナル出版

 

先ごろ、「プリテックステージ」という印刷関係の雑誌社の取材を受けた。どんな扱いになるのかな、と楽しみにしていたところ、出来上がった雑誌(7月号)が届けられて驚いた。「ネットワーク時代のパーソナル出版」というテーマの特集のトップ扱いである。

 

e ブックランドという電子出版社の出現は、出版業界もさることながら印刷業界にとっても大変気になる存在らしい。講演を頼まれたこともある。

 

そのわけは、印刷業界というものが技術革新の影響を直接受けやすいころにある。うかうかしていたら、アッという間に工場全体が時代遅れになって受注がなくなる。技術革新の持つ非情で過酷な側面を身をもって体験してきているから、時代の変化には神経質にならざるを得ない。

 

わたくし自身、印刷の急激な変わりようを目撃してきた。新聞社に入ったころ、編集局と印刷所は同じビルの中にあった。毎日、記事を書く記者だから、照る日もあれば曇る日もある。気がめげると、 1 人、輪転機のある地下室に行って輪転機が新聞を刷っている様子をしばらく見守っては気を取り直した。輪転機が回る轟音、目の回るような高速回転には、疲れきった脳細胞を元気にしてくれる気分転換、マッサージ効果のようなものがあるらしい。

 

鉛の活字を組んで印刷していた時代である。間違いがあると、赤字をいれたゲラという試刷りを片手に、裏返しの文字が刻まれた鉛の活字をひょいひょいと拾っては組み直す名人芸に見とれた。そんな職人たちは、印刷技術の高度・高速化とともにお払い箱になり、次々と配転されていった。それでもそのころはまだ、 500 年前にグーテンベルグが発明した活版印刷技術の延長上にあったといえる。

 

その次にやってきたのがデジタル化であり、インターネットだ。印刷するデータはどんなに遠くにでも送れるようになった。輪転機は編集局の近くにある必要がなくなって、印刷工場は地価が安く、配送に便利な郊外に移転していった。記者はパソコンで原稿を書くようになり、同時に「へラルドトリビューン」などの外国の新聞社が日本での印刷を始め、日本の新聞社が海外で印刷を行うことが珍しくなくなった。

 

国際ブックフェアと同時開催のデジタルパブリッシングフェア 2006 が今年も東京ビッグサイトで開かれた。 e ブックランドもデジタルコミュニケーションズ社のブースに参考出展したが、ことしのテーマの一つは印刷データをインターネットを利用してやり取りして行う遠隔出版だった。活版印刷からネット出版への移行期がまだまだ続いているのである。そうした印刷・製本システムを使えば、印刷所はもはや東京にある必要はない。むしろ配送に便利な日本列島の真ん中にあれば、ロジスティックスの面からかえって有利な時代になった。

 

印刷をビジネスにする人々にとって、激しい変化をもたらす IT 革命はたまったものではない。しかし手をこまねいていればただ置き去りにされるだけだ。そこが「プリテックステージ」のようなデジタル出版技術の雑誌が生まれ、読まれる所以なのだろう。

 

「ネットワーク時代のパーソナル出版」というテーマも的を得ている。 e ブックランドは、これまで出版というものに縁のなかった一般の人々も、新しい技術を利用して安価に出版の楽しさ、面白さ、醍醐味を味わってほしいと思って立ち上げた。商業出版ではなく、いわゆる自費出版社だが、この“自費出版”という言葉がひっかかって仕方がない。自費というからにはお金の感覚がまとわりつく。しかし実際にはほとんどの人は誰も、そんな気持ちで出版したいと思っているわけではないだろう。

 

その点、パーソナル出版というのはいい感じである。個人出版というより、私的な出版というニュアンスだが、楽しみで、あるいは多くの人に知ってほしくて自分で出版しようとする人々の気持ちをつかんでいるように思う。

 

これからは e ブックランドでもパーソナル出版という言葉をできるだけ使うようにしよう。

作成:Sanshiro 2006.07.12 更新:2006.07.18

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