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ペルシャ湾が気にかかる  

 

拙書『ペルシャ湾』(新潮選書、改訂版)の動きがよくなったので増刷(5月25日)しますと、出版社の担当編集者から電話があった。

 

増刷とはうれしいが、手放しに喜ぶことはできない。大動乱が起きるか、それに近い危うい国際情勢にならないと売れないタイプの本だからだ。原油価格も高騰の一途だ。いよいよなのか・・・と、しばし考え込んでしまった。

 

『ペルシャ湾』は思い出の深い本だ。なにがなんでもこれは書かねばならない、と日常の仕事をしながら夜なべして書いたのに、出版してから1年が過ぎても売れ行きはさっぱりだった。一般の日本人はペルシャ湾の石油の恩恵をこれだけ受けていながら、中東の彼の地のことなどまったく知ろうとはしない。

 

ところが 1990 年8月2日、フセイン大統領のイラクの戦車がクウエートに侵攻して湾岸戦争が勃発するや、突然、売れ出した。この一帯について書いた本が他にないためだったろう。序文に「日本にとっての知的空白地帯を理解するお役に立てれば」と書いたが、まさにその通りになった。

 

その売れ方が尋常ではなかった。出版社は一度に 5000 部とか 7000 部といったスケールで、ときには月に2度も「増刷しました」と報告してきた。そのころわたくしは新聞社のロンドン特派員をしていたのだが、印税が給料よりも多いときがあった。

 

こういう印税生活もいいな、という考えがもたげたところに、「大学教授のポストがあるが、どうだ」と恩師から手紙がきた。まさか湾岸戦争がドンパチやっているときに敵前逃亡するわけにもゆかない。しかしタイミングよく新学期が始まる前に、多国籍軍がイラク軍を蹴散らして戦争は終わり、間一髪、転身することができた。

 

帰国してみると『ペルシャ湾』はどこの本屋でも平積みになっていてベストセラー扱いだった。なんという騒ぎだったのだろう。だが、のど元過ぎればなんとやら、戦争が終われば、とたんにいつもの平和ボケの日本に戻って、もうだれも買わない。そのうちに店頭から消えていった。
 

『ペルシャ湾』はどのような内容のものかといえば、イラク駐留に向かう自衛隊員必携といえば分かり易いだろう。メソポタミアの昔から大航海時代を経て、この地域での大英帝国とロシアのグレートゲームから今日に至る歴史、さらには今日の石油をめぐる攻防までを総ざらいしてある。出版社は「最良の中東入門書」と帯に書いた。著者としてはこそばゆいが、それに近い本である。

 

なかでも一番、力を込めて詳しく書いたのは、わたくしが中東特派員のときに遭遇したイラン革命とそのてん末だ。アヤトラ・ホメイニ師のイラン革命こそはイスラム原理主義の原点である。この革命の思想が広がるとき、世界は波乱のときを迎えかねないだろうと書いた。

 

不幸にしてこの警告は的中してしまった。 2001年 9月 11 日、 オサマ・ビンラディンのアルカイダによるテロが発生して世界情勢は一変した。このためテロとビンラディンの考え方、アフガニスタン戦争、イラク戦争などの新しい歴史の展開を書き加えたものが、現在、本屋に並んでいる改訂再版である。

 

イランでは核開発が急ピッチで進められており、阻止しようとするアメリカなどによる攻撃の有事に備えて、自爆テロ特攻隊の猛訓練が始まっていると伝えられる。なぜ、このようなことになるのかを理解するためにもこの本はとても役に立つと思う。

 

『ペルシャ湾』という本が売れるのは、うれしいだけでなく悲しくもあるというのはこのためである。またベストセラーになどなって欲しくはないのだが・・・。

 

作成:Sanshiro 2006.04.19 更新:2006.07.04

未来の教育のスタイル
 

新しく始まった e ブックランドの教育出版は、未来の教育のスタイルを先取りするものだ。

 

簡単にいえば、教官が教科書などを電子出版して、それをネット販売し、学生はパソコンの画面で学習するというものである。 e ブックランドはこの学習プロセスのなかで、教材の電子出版とその販売を担う。こうした学習に適しているのは大学や大学院、専門学校などの高等教育で、学生は液晶画面で学習できるレベルの者でなければならない。

 

学生がディスプレイの液晶画面で勉強するなどということは、多くの人々にとってはまだ考えられないことだろう。しかしほんの数年前まで、これほど多くの日本人が携帯でデジタル文字を読むとは誰が予測しただろうか。

 

いまや携帯の登録は 9000 万件を越えて、小学生から手にするようになった。すでに紙の辞書はデジタルの電子辞書にシフトしているが、デジタル文字に慣れ親しんだ世代はもはや液晶での学習を苦にせず、学習のスタイルが変わってゆくことは容易に予想できる。

 

教材の電子出版のメリットはそのまま自費出版作品の、 e ブックランドでの電子出版と他所での紙本出版の違いに当てはめることができるだろう。

 

e ブックランドであった具体的なケースで示せば、都内のある紙本の自費出版社で 500 万円を要求された作品(400字1100枚)は、eブックランドのオンディマンド出版でおよそ 100 万円強で紙本出版できた。5分の1である。電子出版もしたが、そのコストは上下巻の2冊にして 24 万円だった。

 

このように教科書や参考書も電子出版に切り替えることで、ほとんど 20 分の1にまで安く出版することができる。当然のことながら、学生たちはそこまで安くはないにしても、これまでの半分以下の価格で先生の教科書を買えるようになる。

 

このために著者の先生の印税収入が減るかといえば、逆である。電子出版ではインク、紙代、倉庫代、流通費用がかからないので、多くの印税を得ることができる。一般に印税は 10 %とされているが、 e ブックランドでは電子出版の販売価格の50%を著者に還元している。教科書の価格を半分にしたとしても、先生方には 2.5 倍の印税が入る計算だ。

 

学習教材の電子ブック化のメリットはそれだけではない。

電子販売すれば検索サイトで注目され、教育現場を越えて話題になる可能性が でてくる。 業績と学名が轟き、一般の人がダウンロードする機会も増えて、そ の分も印税に加算になる。

 

見逃せないのは、毎年の更改が極めて簡単なことだ。

変化の激しい今日、毎年、同じノートや教科書で教えられる優雅な大学の先生はそう多くないだろう。科目によっては毎年のように内容を新しくしなければならないが、数百万円もかかる紙本ではおいそれと改訂版を出すことができない。かくて印税が入ってくるどころか、持ち出しになることが珍しくないが、電子ブックならば挿入や内容の改訂が極めて容易で、再度のアップロードも1万円からの実費で済む。


研究業績のために流通コードISBNの付いた紙本がどうしても必要ならば、電子出版したデジタルデータを使って小部数を、安くオンディマンド出版すれば事足りる。
 

かくて高コスト、高価格の紙本教材の出版を強いられている教官、その結果、高価な学習教材を買って学ばなければならない学生の負担は大幅に軽減され、教育費のコストダウンが図られる可能性がでてきた。


いまはまだ可能性に過ぎない。

しかし JCE e ブックランドは4つの学習教材の電子出版販売モデルを掲げて全国の大学教員らに向けて、出版予約の受付を開始した。

 

学生が多く、ダウンロード購入する金額が多い先生ならば、初期費用が無料で出版できるタイプ、自分で PDF で書いて自力出版する方法も用意されている。学部、学科がこぞって電子出版を行うならば、学生の金銭的負担はとても楽になるから、評判が高まること必至だろう。

 

JCEとeブックランドが火をつけた高等教育界の教育費のコストダウン革命は、じわじわと波紋を広げてゆくに違いない。


 

作成:Sanshiro 2006.04.13 更新:2006.04.14

革命×革命 =

 

e ブックランドは、わたくしが『ブック革命』(日経 BP 社)を書いたことがきっかけになって立ち上がった。

 

ここにまた“革命”を掲げた作品が登場した。『コストダウンの常識革命―若者に富豪になるノウハウを贈る』で 3 月からトップページにアップになっている。

 

著者は福田 征孜さんという方で、三菱重工に長く、長崎の三菱造船所長も勤めた。世界最強を誇った日本の造船業だが、景気変動と海外からの安い労働力の攻勢の前に何度も苦境に立った。大事故もあった。しかしながら日本の造船業はそのたびにはい上がった。長崎の三菱造船所はいまも健在で大型船舶を建造している。

 

不死鳥の日本造船業の復活の源こそは、コストダウンの秘策だった。安い労働力で造った安い船との競争は並大抵のバトルではなかった。弱音を吐いて引き下がれば、安くて良いものが売れるという市場原理の前にただ消え去るのみ。コストダウンをもたらす知恵をしぼり出す努力には果てしないものがあった。

 

『コストダウンの常識革命』にはそんな現場の修羅場から編み出されたコストダウンのための原理が書かれているが、同時にそれを生み出し、実現するまでの極限の努力が行間から漂ってくる。

 

著者の福田 征孜さんは、こうしたコストダウンのための秘策を若者たちに教えたいと日本コストエンジニア( JCE )を立ち上げた。コストエンジニアリングを学問として教え、しっかりと学んで現場に生かすコストエンジニアを育てなければならないと考えてのことだ。

 

そしてその教材を取り扱う書店として e ブックランドに白羽の矢を立てた。安価に電子出版するeブックランドは、コストエンジニアリングの精神を具現していると見られたようだ。 光栄の至りだが、 このような重要なプロジェクトに関与することになっためぐり合わせに緊張の思いだ。

 

日本の若者、技術者たちにコストエンジニアリングの基本を叩き込むプロジェクトの成否には,それぞれの企業の命運がかかっているだけでなく、日本の国運がかかっているといっても過言ではない。世界水準に比べて労賃が高止まりしている日本が、国際競争力をこれからも持続させられるかはコストダウン次第だからである。

 

 JCEeブックランドは、コストエンジニア育成の教材だけでなく、一般の教科書や参考書についても電子出版するビジネスを展開することになった。学科や分野によって向き不向きはあるにしても、教材が安くなれば教育費が減り、お金を他の学習に向けることができて学生たちはより賢く、豊かになるだろう。

 

革命×革命はついに教育費のコストダウンというプロジェクトを発進させた。    (続く)

作成:Sanshiro 2006.04.12 更新:2006.04.13

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