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eブックランド今昔

ネットの世界はあわただしく、1年が7年の〝ドッグイヤー〝の感覚で推移する。 2004 年秋に設立して6周年を迎えた電子出版社 e ブックランドは、人間でいえば 35 歳になったということになる。 
実際、本邦初の電子自費出版社はなかなか立派に育った。

これも著者のみなさま、利用者のみなさまのご愛顧のおかげで、これからも宜しくお願い申し上げます。

 

6周年を迎えての事業として、あらたに写真による表現のステージ「 e ブックランド PHOTO ギャラリー24」を立ち上げた。 時間はかかるだろうけれども、 いずれ多くの写真集を展示するようになって、文字による作品群とともに e ブックランドの柱に育ってほしいと願っている。

 

写真に向いていることもあって、 e ブックランドは使用する電子書籍のフォーマット(規格)を、 PDF に移しつつある。 PDF は米アドビ社の規格で電子書籍のほとんどデファクトスタンダードになっているために、使わざるを得ない。

 

これがちょっとばかり無念なのである。

 

5年前、 e ブックランドを立ち上げるにあたって秘かに考えていたことがあった。日本人が創作を楽しみながらインターネットに親しむことが一番の狙いだったけれども、それだけでなく、いずれは マイクロソフトの総大将ビル・ゲイツの鼻をあかしたい、なんとかして一矢を報いるチャンスをつかみたいと思っていたのである。

 

電子立国であったはずの日本は、インターネット・ビジネスで遅れをとって沈没、電気機器メーカーはパソコンの組立て工場になり下がった。しかもパソコンを組立てて販売するたびに、マイクロソフトとインテルにライセンス料を支払わなければならない。なにをするにしてもビル・ゲイツにお金を貢がなければならない構図になってしまった。どこかでリベンジすることはできないものか。

 

  e ブックランドは最初、ソニーが開発した電子書籍の規格である BBeB Broadband e-Book の略)を採用してスタートしたのにはこんな魂胆があった。 パソコンの基本ソフトでかなわないのであれば、国産のフォーマットで情報のサービスの分野から反撃してみようと考えたのだ。

 

ところがその直後から、ソニーの業績は迷走し始めて、電子ブックどころではなくなる。 電子書籍が紙の本のビジネスモデルを窮地に陥れることを懸念する日本の出版業界が売れる本を出さず、巧妙に足を引っ張ったためにソニーの読書端末「リブリエ」はさっぱり売れない。ついには電子書籍ビジネスでソニーは日本から撤退してしまった。

 

日本市場をあきらめたソニーは電子書籍端末の開発部隊をそっくりアメリカ西海岸に転勤させて、新しい読書端末 Sony Reader を発売した。 これが成功して、アマゾンにキンドルを開発させるきっかけにもなる。 米調査会社によれば、このキンドルと Sony Readerがブレイクして、 2009 年のアメリカでの電子書籍の読書端末の販売は 300 万台に達っする。シェアはキンドルが65%、Sony Readerが35%だという。

 

しかしそれは本屋が近くにない広大なアメリカでの話である。キンドルは日本でも発売を開始したけれども、いまのところはまだ英語のサービスだけ。 BBeB も読める Sony Reader の日本再上陸の話はなく、 e ブックランドはそろそろ BBeB の利用も断念せざるを得ない情勢で、 PDF を重用せざるを得ない。

 

PDF を読むための閲覧ソフト Adobe Reader は、マイクロソフトのほとんどのパソコンに出荷時からインストールされている。 マイクロソフトとアドビ社が組んでのいわゆる抱き合わせ販売だ。 e ブックランドの PDF の利用もビル・ゲイツを喜ばせるばかりで、 e ブックランドの創業時の志は裏目にでている。6周年を迎えることができたことは嬉しいけれども、気が晴れないのはこのためである。 

けれども、こんなことはもはや瑣末なことだろう。5年前、eブックランドを立ち上げたときには「文字は紙の上で読むものだ。デジタル文字などとんでもない」と電子出版を白い目で見る向きがとても強かったが、そんな人々はとうに少数派になって電子書籍は日常のものになった。携帯電話の劇的な普及のせいである。

また日本は経済的に中国をはじめとする発展途上の国々から急速に追い上げられるようになった。知識と技術をたちまちコピーしてしまうインターネットの普及なしには考えられない現象だ。このあたりまではほぼ予想した通りだが、悪いことは重なるものである。

史上最大規模に膨れ上がった民主党の予算編成は、日本の財政硬直化が危ういまでの動脈硬化を起こしていることを示した。不況による税収不足のせいばかりではない。インターネットによる世の中のパラダイムシフトを直視しようとせず、赤字国債を発行しまくって湯水のように税金を使い、しゃぶりつくしてきた報いだ。 行政システムと公務員ばかりが肥大して事業に使えるお金はほとんどなくなってしまった。

その民主党政権は先進諸国で最も野心的な二酸化炭素の削減の方針を打ち出した。とことんの環境保全のエコな政策が正しい軌道を描くならば、いずれ緑を破壊する紙の本をできるだけ少なくして、電子書籍でまにあうものは電子書籍で済ませるというところに行き着くだろう。まさにeブックランドの主張で、国会図書館は2011年度からの電子書籍の配信に向けて動き出している。

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ブックランドの創業のころは、いまは昔、人々の生活までを根底から揺さぶるさらなる変動が襲ってきている。これを記録するのもeブックランドの役割になることだろう。すでに今日のパラダイムシフトを予見した「リバースエコノミーの時代」(福田 征孜著)のような名著が電子出版になっている。


 

 
by Sanshiro 更新:2010/01/01 05:26 作成:2009/10/14 08:15
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